平成16年12月11日に 第8回和光技研技術研究発表会 が開催されました。

(1) 「被災から工事完結までの取り組み」 ~災害関連工事の場合

地域開発部  北村 明

沙流川水系貫気別川流域では、平成15年8月、台風10号の集中豪雨により甚大な被害を受けることとなった。これらは激甚災害に指定され、復旧対策工設計として、北海道室蘭土木現業所より発注された。本発表では、災害発生から工事完結までの手続き関係の流れ(認可申請のポイント)と、コスト縮減の取り組み等について報告した。

(2) 農業用水路における水生昆虫の生息と流下について

河川環境部 鈴木 雅人

土地改良法改正により“環境との調和への配慮”が盛り込まれ、農業用水路においても生態系に配慮した整備を行うことが要求されている。近年では魚類に配慮した用排水路の研究が注目されているが、餌資源となる水生昆虫の生息状況や動態についての知見は少なく詳しいことがわかっていない。今後の整備事業に関わる基礎資料として本研究では山形県朝日村を流れる早田川上流域から取水する農業用水路を対象に調査を行い、水路内における水生昆虫の生息状況の把握、その動態を明らかにすることを目的とした。

(3) 複合ラーメン橋剛結部の解析

地域開発部 桐本 裕二

昨年、発表した複合ラーメン橋梁の剛結部の解析について、その後の検討経過について紹介した。 今回の検討では、剛結部詳細設計のフローとして、初期設計、模型実験及びFEM解析による検証を行った。この検証により、他に例のない剛結部構造の設計手法として既存の設計法などで十分性能照査が可能であることを証明することができた。 本橋梁形式が経済性に優れた橋梁形式として、広く一般に周知され、建設されることを望む。

(4) 環境のために私たちができること

営業部 櫨山 知花

CO2削減運動への参加を機に結成された「エコチャレ隊」による発表。地球温暖化問題の現状を例に挙げ、自分たちの行動が次世代の環境をつくるという地球規模の視野を持とうと呼びかけた。また、自転車通勤やエコバッグなどエコチャレ隊の日頃の活動を紹介し、まずは日常生活から見直して足元からの行動を始め、環境へ配慮する意識を周囲に広めていきたいと抱負を語った。

(5) デジタルカメラを使用した写真測量

測量調査部  菅原 巧

一般に写真測量は、航空機を使用しての空中写真測量が主流であるが地上でも可能である。 地上写真測量は、空中からでは写真に写らない崖などの危険な実測の代替として有効であるが、従来は高額な計測専用のカメラを必要とし、また、フィルムを使用するアナログカメラしか存在していない。そこで今回は、市販デジタルカメラを使用した地上写真測量の可能性をとりまとめた。今後は、誤差を小さくする研究を進め、崖だけではなく他の汎用性も検討していきたい。

(6) 北海道東部の小河川におけるウェッジダムの効果について

河川環境部 梶 祐子

道東の美幌町を流下する駒生川において、ウェッジダムにより瀬・淵を回復する試みが香川氏(河川砂防課)によりH12年度に計画され、同年度から整備が着手された。今年度、整備後の河川形態を調査した結果、ウェッジダム上下流に、改修前には見られなかった淵や早瀬が回復していた。また過年度の環境調査報告書からは、サケ科魚類の生息密度が改修前より増加したことが明らかになった。 以上から駒生川においてはウェッジダムは河川環境を改善する工法として有効であると評価した。

(7) 北海道縦貫自動車道建設に伴い支障となった砂利プラント設備の補償事例について

補償部 麻郷地 義浩

発表では、日本道路公団が施工中の北海道縦貫自動車道の建設に伴い支障となる砂利採石プラント及び砂利堆積場の移転補償に関し、現有敷地の利用実態(堆積場)と敷地内のプラント設備・建物等の配置とその機能・経営規模等を調査し、適切妥当な移転工法を検討し補償額を算定した補償事例を紹介した。

■特別講演 「橋のはなし」

技術顧問 勝俣征也

1940年11月にアメリカのワシントン州で起こった、当時世界第3位の長さを誇ったタコマ橋の崩落事故や、自身が設計に携わった白鳥大橋の事例などを通じて、橋梁に関する基礎知識や力学的特性について、若手社員を対象として講義を行った。