平成17年6月11日に 第9回和光技研技術研究発表会 が開催されました。
(1) 魚が上りやすい落差工の配慮事項について
地域開発部 田宮 敏
落差工の計画設計にあたって、設計者が魚に配慮した落差工を検討する際、必要な基本的な知識を整理し、従来型の落差工について魚からみた問題点を示し、かつ治水性を踏まえ、魚が上りやすい落差工の配慮事項を報告した。
(2) 土砂堆積傾向にある河川に設置された取水施設の土砂堆積防止対策工の検証
河川環境部 水落 彰宏
河川改修後、土砂堆積によって取水施設が取水障害を引き起こしている状況であるため、河床洗掘を起こす対策が必要となった。そこで、北見工業大学の内島教授・早川助教授と共同研究を行い、土砂堆積防止対策として横工や縦工、帯工等を設置した場合の河床変動特性を水理模型実験から把握し、河床洗掘および土砂の堆積防止に対して最も効果的な工法および規模・配置を選定した。
(3) 法定外公共物譲与申請業務について
測量調査部 水野 哲也
平成11年に公布された「地方分権の推進を図るための関係法令の整備等に関する法律」により、地方自治体が認定外道路、普通河川敷地の所有権を取得することになり、その管理権限が明確になり地域住民の要請に応えつつ、適切に維持、管理していくことが可能となるなど、そのメリットは大きいとされている。本発表では法定外公共物の概要、譲与による効果についてまとめた。
(4) 指標種による魚道機能の検証
地域開発部 住出 徹
河川整備では、魚類等が川の上下流へ自由に移動ができることが求められる。しかし落差工の設置や本川河床の切り下げによる支川合流部の落差処理によって、止むを得ず上下流の連続性が分断される場合がある。野津幌川や支川の大曲川もその一例で、設置により魚類の移動が阻害されたため、6基の落差工に魚道が設置された。また設置後は、魚道が問題なく機能していることの確認や、問題が発生していた場合の対策等の検討が大切である。当河川では魚類調査等を行ないヤマメ・モクズガニ等の指標種を選定して魚道機能の評価を行ったので、この結果を報告した。
(5) 寒地都市における市民の防災意識と災害対応に関するアンケート調査(第2報)
地質部 宿田 浩司
発表者が社外活動している (社)日本技術士会北海道支部・北海道技術士センターの防災研究会情報系部会(現在16名)では、都市型防災において“情報”の活用と管理が減災に極めて重要であるとの認識から、市民の防災意識や情報システム等について研究活動を行っている。活動の一環として、平成14年12月に防災アンケート調査を行っており、平成15年10月には、「平成15年十勝沖地震」の発生を受け、同様のアンケート調査を行っている。本発表では、「平成15年十勝沖地震」直後に行ったアンケートより、アンケートの調査結果について述べるとともに、震災前後における市民の防災意識の変化などについて紹介した。
(6) 環境のために私たちが出来ること 2005
河川環境部 下山 康弘
昨年参加した「ストップ・ザ・温暖化キャンペーン」だけでなく、キャンペーンの参加以外にエコ活動を互いに紹介し合う、新たなエコ活動に挑戦するなど、グループ内での自己啓発への取り組みを紹介した。また、今年度以降もエコチャレ隊として地球環境を意識した活動に参加したいと考えており、エコチャレ隊の活動が大きな広がりを持ち、やがて企業活動に発展することを期待し、『社員の意識改革のきっかけ』という目標のもと発表した。
(7) 多点固定構造(Fix, Fix)の橋梁設計~技術力を駆使してコスト縮減を図る~
地域開発部 長坂 秀一
平成14年3月に改訂された道路橋示方書は、コスト縮減に対する新しい知見の導入促進を目的として、従来の仕様規定型から性能規定型へと変更された。これにより、従来の規定によらない設計方法を適用出来るようになった。
本発表会では、コスト縮減に向けて、軟弱地盤上に建設される単純桁橋の支承条件を多点固定(Fix,Fix)として杭の変位を軽減させ、杭本数を減じた設計例について紹介した。
(8) 3次元モデルを使用した遊水地の水量計算
情報システム部 成川 憲司
遊水地を設計するにあたり、①遊水地の工事が開始されているが、貯水量がはっきりしていない。②計画断面図から貯水量を算出しようとしたが、範囲が膨大なためどれくらい時間がかかるかわからない。③掘削範囲の変更等に膨大な時間がかかる。といった問題点が浮上してくる。そこで本発表では、洪水時に50万トンの貯水量を確保できるかどうかについて3Dモデルを用い、その遊水池設計の妥当性について検証したものを報告した。
(9) 吉田流スタイルと営業の未来へ
営業部 吉田 哲也
営業エリアと活動内容の報告、過去に受け持った業務の事例を紹介した。また、営業活動において感じた問題・課題点をふまえ、技術と営業との協力体制のあり方についての提案を報告した。
(10) 評定点の向上にむけて
河川環境部 石塚 辰介
河川環境部では、顧客満足度の向上を目的としたQC活動を平成13年度から行っている。その一環として過年度の委託業務施行成績評定表を統計的に処理し、当社の強み弱みを明確にすることを試みた。統計処理の結果、顧客満足度と特定の評価項目には相関関係があることが分かった。
顧客満足度を向上させるために、業務プロセスの改善やコミュニケーション能力を強化するための方策について発表した。
(11) 子ども向け河川整備計画紹介ビデオ
河川環境部 香川 誠
河川整備計画の立案にあたっては、地元住民や学識経験者を交えた検討委員会などを開催し、地域住民の意見を反映させている。しかし、今後20~30年間にわたる整備事業にもかかわらず、流域の将来を担う地元の子ども達への説明を行わずに事業を進めて良いのかという疑問から、子ども向けの河川整備計画紹介ビデオを作成することとなった。土木事業と地域の関わり、誰のための土木事業なのかを再認識するきっかけとなるよう、ビデオを上映した。
(12) 産業廃棄物管理型最終処分場の許認可設計について
地域開発部 三浦 寿浩
当社において実績のなかった産業廃棄物最終処分場の設置許可を取得した物件について、A社を事例に説明を行った。内容は、産業廃棄物の種類、最終処分場の種類、A社の3Rへの取り組み姿勢、リサイクルの方法及び遮水シート・水処理施設等の付帯施設の説明を行った。