平成18年4月15日に 第10回和光技研技術研究発表会 が開催されました。

(1) 地上型3Dレーザースキャナによる崖地調査

測量調査部 松宮 一正

matsumiya近年開発された、高速で高密度、広範囲の3次元座標データを取得できる地上型3Dレーザースキャナ。 この器械の長所、短所および活用方法を調査事例を交えて紹介した。
また、大量の3次元座標データから平面図、横断図、縦断図の他、TIN(3次元データ)を作成し
立体的に表現することで、現場状況や危険箇所の把握が行える図面等について報告を行った。

(2) 定量的評価による多自然型工法の効果検証

河川環境部 鈴木 雅人

suzuki平成15年に自然再生推進法が施行され、その基本理念として「事業の着手後においても自然再生の状況を監視し、その結果に科学的な 評価を加え、これを事業に反映。」ということが示されている。一方で多自然型川づくりの事例は蓄積されつつあるものの、その効果や有効性について未だ十分な検証がなされていないのが現状である。
本発表では、多自然型工法を施した区間と施していない区間を対象に、物理環境や魚類の生息状況について定量的な評価を行い、多自然型工法の効果を検証した事例を紹介する。

(3) オジロワシの生息調査と保全対策

河川環境部 本間 英敏

honnma全国で開発が進むにつれて、わが国固有の自然の生態系や景観は山地や渓流、河川周辺など限られた部分に残されるのみとなった。これらの場所では、様々な動植物の貴重な生育・生息域であることや、渓流環境の保全が下流域に影響を与えることなどから、自然環境保全に向けた十分な取り組みが求められる。
本発表では、調査地周辺で生息・繁殖するオジロワシの保全に向け、生息調査の実施や利用域の解析、および保全対策の検討を行った事例を紹介した。

(4) 環境のために私たちができること2006

河川環境部 香川 誠

kagawaエコチャレ隊とは、環境に配慮した活動を行うために結成された社内の自主的活動組織であり、昨年度末に省エネや景観美化などを目的として、スナゴケを用いた壁面緑化・屋上緑化の試験施工を行った。
スナゴケは、土壌を必要とせず寒さや乾燥にも強いことから、様々な分野・施設の緑化に応用が可能である考えられるが、寒冷地における施工事例がほとんど無い。今後、植生の繁茂状態などからスナゴケによる緑化の有効性を判断し、今後の活動に活かしたいと考えている。

(5) まちづくりと補償

建築補償部 寺内 知生

terauti平成11年度から14年度までの丸4年間にわたって、道東のとある町のまちづくり計画策定の経験を、現在専門としている補償業務との関連性という切り口に従い発表した。
まず、地方自治体がまちづくり計画に着手するきっかけから計画の深度化の過程、公共事業メニューの組み立てと内容、コンサルタントチームの体制、及び関係者のコンセンサス形成の概要を報告した。さらに、公共事業から派生する補償関連業務の内容と当社の受注状況、まちづくりにおける補償の重要性と補償技術者のかかわりが希薄な現状について報告を行った。

(6) 生産性向上委員会最終活動報告 ~共有データを探しやすくしよう

地域開発部  八木澤博文
構造・地質部   北村 明

yagisawa平成17年度生産性向上委員会の活動内容から地域開発部の生産性の阻害要因を列挙し、その中の1つの阻害要因、『共有データを探す時間がかかる』を選定し、①目標の設定、②現状の把握・要因の解析、③対策案の立案、④活動の実施によりホームページ形式による共有データ検索システムの運用に至るまでの内容について発表を行う。

(7) 単純ミスはなぜなくならないのか ~ミスの少ない照査体制づくり

地域開発部 小岩 晃

koiwa当社では、ISO活動の一環としてDR(デザインレビュー)・設計検証などを行うことで、成果品の品質確保に努めている。
平成17年度のミス防止委員会では、今日まで行われていた「照査のやり方」を課題整理することで、DRや設計検証では思うように解決できない“単純ミス”を照査の対象とし、『繁忙期における照査活動の持続』『第3者への頼みやすさ』という社内環境整備の実現に向けたQC活動を行った。
当発表会では、その手法と効果について全社員に対し提唱を行った。

■特別講演  『知ってるつもり?目からウロコ!「情報セキュリティー」のツボ』

北海道リコー株式会社
CSR推進室 伊藤 卓治 様

日々発生する情報漏洩に関する事件・事故。
今日、企業の社会的責任として情報セキュリティ対策が求められており、身近にある脅威を個人情報保護法の観点などからお話ししていただいた。また、その対策の具体例として組織的な「安全管理措置義務」の機能・制定・運用や施行後の管理方法について講演していただいた。