平成20年 4月26日に 第12回和光技研技術研究発表会 が開催されました。

特別講演 会社、個人を伸ばすマーケティングマネジメント

技術部 細川康司

近年の建設コンサルタント業界を取り巻く外部環境は厳しく、多方面から監視が強化され評価されている。最近では技術力評価と同等に経営能力評価が重視されている。ところが官による護送船団方式で運営されてきた我々の業界は、中小企業が多く、経営能力は他業界に比較して低いものとなっている。一方、技術者に求められるものも、単なる専門技術力のみならずコミュニケーション能力が重要な評価項目として用いられている。

これらの能力の基本となる顧客満足の視点を理解するために、マーケティングマネジメントの考え方について発表した。

魚道改良における水理模型実験の試み

技術部 河川砂防課 柏倉秀二

発表の対象とした魚道は、札幌市内の河川に設置されている階段式の突出型魚道であり、魚が入り口を見つけにくく、落差工直下に魚がたまりやすいという問題点があった。

解決策として、魚道下流端付近に副堤を設けることで、入り口を見つけやすくする方法が考えられた。この方法の懸案事項として、副堤を設置することによる魚道内の土砂堆積や魚道下流のみお筋の消失であった。これらを検証するために水理模型実験を試みた。

ITを活用した業務効率化 ~浸水想定区域図作成業務を例にして~

技術部 河川砂防課 香川誠

近年の社会基盤整備に対する国民の要望変化に伴い、建設コンサルタント業界は、不要コストの縮減や業務効率化を進めなければ生き残る事が難しい時代となってきている。従来からITによる効率化は叫ばれているものの、実際に効率化したという具体例を目にする機会は少ない。

本発表では、ITCによる業務効率化の一例として浸水想定区域図作成業務を通じて得たノウハウを紹介した。

猛禽類の保全対策 ~最新の保全対策を基に~

技術部 環境計画課 鈴木雅人

猛禽類の保全を図ることは重要種の保全という点だけでなく、地域の生態系や生物多様性全体の保全を図っていく上でも象徴的な意味がある。このため、猛禽類の生息環境を改変する工事を実施する場合は、適切な保全対策を図る必要があるものの、具体的な実施例やその効果についての情報がまだ少ない状況にある。

そこで本発表では、猛禽類の現状と最新の保全対策実施例を紹介するとともに、今後の業務で講じるべき猛禽類の具体的な保全対策案や方針について報告した。

河川堤防の質的整備について

技術部 水工課 北村明

堤防の質的整備とは、堤防内に水が浸透することによって、堤防が内部から破壊されることを防ぐ整備のことをいう。

当社で過去に担当した堤防質的整備業務を事例として、必要性の検討・箇所の選定から、地質調査、浸透流解析、対策工の設計など、各項目で直面した問題点と対策、今後の課題などについて発表した。

インテグラルアバット橋(雁来5号橋)の施工結果報告

技術部 道路・構造課 半浦剛

平成16年度の雁来5号橋詳細設計受注を契機に、当社では新構造形式(インテグラルアバット橋)の設計手法を確立してきた。平成19年度は雁来5号橋の施工が開始され、市役所、施工業者、設計者(和光技研)の三者検討会を取りまとめる業務を委託した。

今回は、19年度に実施された施工状況を報告した。

費用対便益について

技術部 道路・構造課 三浦壽浩

費用便益分析は、公共事業の効率的かつ効果的な遂行のため、新規事業採択時評価及び再評価にあたり、社会・経済的な側面から事業の妥当性を評価し、効果的な事業執行を促すこと目的としている。

道路・河川・街づくりなど、分野によって費用対便益の算出手法が異なるため、各種事例をもとに、費用便益分析比を求めるにあたっての着目点等を報告した。

三角点と水準点

測量調査部 三浦大

平成14年に三角点と水準点の成果の改正、平成15年に地震により一部地域の三角点の成果改正等があり、既存の資料(平面図、縦断図等)を利用する場合に補正する必要がある。

本発表では、三角点と水準点の歴史、成果改正の経緯等を改めて整理し、調査の年度や地区ごとに異なる補正量をとりまとめて発表した。