(1)はじめに
ここでは、寒冷地における歩道下の埋戻し土に関して生じたちょっとした疑問と、埋戻し土の凍上試験を実施して得られた改良土の性状についてまとめてみました。
(2)歩道部の舗装構成
一般に車道部の舗装構成は、理論最大凍結深度の70%を目安に置換厚を設定し、舗装厚がこれに満たない場合には、凍上抑制層を設けます。
一方、歩道部の舗装構成は、普通区間の場合、舗装と路盤厚の合計厚が30cmとして設計されています(図1)。すなわち、歩道下に関しては、設計上、凍結深度を考慮した置換層を設けていません。
図1 歩道部の舗装構成例
(3)歩道下の埋戻し土について
下水道や道路の縦断排水管を埋設する場合、リサイクルの観点から、現地発生土を埋戻し土として利用することが多くなってきました。発生土が粘性土や泥炭の場合は、固化材を添加して所定の強度に改良して利用することもあります。
例えば、歩道部に縦断排水管を施工し、埋戻しに現地発生土である泥炭を固化処理して用いる場合、歩道下30cmまで固化処理土で埋め戻しても良いのか疑問に感じました(図2)。凍上について未知である固化処理土を凍上深以浅で使用して良いか不安になったからであります。
図2 歩道下の埋戻しモデル図
(4)とにかく試験してみました
基準上の良否はともかく、泥炭改良土の凍上性を確認したく思い、凍上試験を実施してみました。凍上試験による凍上率の判定は、凍上様式と凍上率で行われ、合格の目安は、凍上率で20%未満とされています。
今回の試験では、固化材添加量を2点しか与えられませんでしたが、試験の結果、固化材添加量250kg/m3および400kg/m3の凍上率はそれぞれ2.2%、0.7%であり、予想を上回る良好な結果となりました(図3)。
図3 凍上試験結果
(5)おわりに
今回の試験では、泥炭固化処理土の凍上性の全容について十分な結果が得られたとはいえません。しかし、今後固化処理土の経年変化などについても明らかにできれば、コスト縮減や建設発生土の有効利用につながるのではないかと思います。
文責:宿田浩司